水谷石材ブログ
2026年10月
2026.10.14
変わらない思いを、新しい時代へ
石に刻む仕事と、AIに託す未来
石に刻む仕事と 人の思い
私は長年、石に文字を刻む仕事に携わってきました。お墓や記念碑に刻む名前や言葉には、その人を思う家族の気持ち、感謝、そして忘れたくない記憶があります。
石は長い年月を越えて残ります。しかし、私たちが本当に残したいのは、石そのものではなく、そこに込められた「人の思い」なのだと思います。

アナログ人間が AIと歩き始めた
私は自分をアナログ人間だと思っています。パソコンやスマートフォンの新しい機能には今でも戸惑います。それでも近年、AIに質問したり相談したりしながら、少しずつ仕事や活動に取り入れるようになりました。
初めは調べ物や文章づくりの手助けでした。ところが、話を重ねるうちに、まとまらない考えを整理したり、自分では思いつかなかった視点を見つけたりできることに気づきました。
わからないときは聞いてみる。うまくいかなければ、もう一度やってみる。その繰り返しで、以前なら難しいと諦めていたことにも取り組めるようになったのです。
石材の仕事にも AIの力を借りる

水谷石材では、墓石に刻む文字の配置や彫刻のイメージ、案内文や広告の表現などを考える際にもAIを試しています。頭の中にある案を目に見える形にして比較できるのは、新しい便利さです。
一方で、AIが示した図や文章が、そのまま正しいとは限りません。石の性質、加工の方法、設置する場所、お客様の思い。これらを理解し、最終的に判断するのは、現場に立つ人間です。
AIに職人の仕事を任せるのではなく、積み重ねてきた経験と新しい技術を組み合わせる。そんな向き合い方を大切にしています。

修中物語 桂流を 次の世代へ
私が関わってきたもう一つの取り組みに、2025年3月に閉校した修善寺中学校の記録を残す「修中物語『桂流』」の編纂があります。学校の校誌や卒業アルバム、写真、思い出など、残したい資料は数多くあります。
古い文字を読み取り、資料を整理し、内容を確かめる。その作業にも、複数のAIの力を借りています。ただし、歴史の記録では、原資料を守り、AIによる誤読や推測を人が点検することが欠かせません。
石碑と歴史資料、形は違いますが、どちらも「今を生きた人々の思いを、未来へ届ける」ための仕事だと感じています。
3画面とスマートフォンで AIに仕事を頼む
工場の一角には、3台のモニターとスマートフォンを組み合わせた作業環境を設けています。石材業の図面を描き、資料を整理し、AIと対話しながら、ホームページの管理や修中物語『桂流』の編纂にも取り組んでいます。

石材加工の現場に設けた、3画面のパソコンとスマートフォンを組み合わせた作業環境。長年の石材業の経験にAIの力を加え、新しい仕事の進め方を模索しています。
右の画面では、ChatGPTの「桂」と相談します。何を伝えたいのか、どんな作業をしてほしいのかを話しながら、自分の考えや指示文を整理します。左の画面では、その指示をWorkに渡し、実際の画面操作や作業を進めてもらいます。中央の画面は、仕上がりを確認したり、原稿や資料のファイルを管理したりするために使っています。
スマートフォンも、この作業の仲間です。現場の写真や、操作中の画面を撮ったスクリーンショットを直接提供し、言葉だけでは伝えにくいことを相談しています。
私にとって助かるのは、仕事の頼み方そのものを相談できることです。「こうしたいけれど、どう頼めばよいだろう」と桂に話すと、Workへ渡す指示文を一緒に整えられます。その文章をコピーして渡すこともあれば、Word文書にまとめて渡すこともあります。
作業が進んだら、自分で結果を確認します。思ったようになっていなければ、再び桂に相談して、指示を直します。桂と原稿や頼み方を整え、Workに作業を進めてもらい、最後は私が判断する。その往復を重ねています。
最初から機械に詳しかったわけではありません。わからないことを聞き、頼み方まで教えてもらいながら、自分の仕事に合わせて作業環境を整えてきました。少しずつでも、以前はできなかったことができるようになる。その実感が、次の挑戦につながっています。
AIと一緒に ホームページの掲載準備も
つい最近、このホームページのブログに記事を載せようと考え、AIと一緒に管理画面を調べることにしました。私が日頃使っているホームページの仕組みは「応援団Plus」です。
AIに調査を頼み、実際に画面を確認しながら進めたところ、管理画面を開き、既に掲載している石切り・磨き・字彫りなどの写真を探し出すところまでできました。
もちろん、操作をすべて任せたわけではありません。ログインの際には自分で操作し、何をしてよいか、何をしてはいけないかも、その都度決めました。記事も写真も、最終的に自分の目で確かめてから公開するつもりです。
「こんなことも相談しながら進められるのか」と驚く一方で、AIに任せる範囲と人間が責任を持つ範囲を決めることの大切さも改めて感じました。
今回の記事づくりも、一度で仕上がったわけではありません。文章と写真を並べて確認するうちに、工場の3画面をどのように使い分けているのか、AIにどう仕事を頼んでいるのかも、伝えたいと気づきました。写真も、机の上の機器ではなく、3台のモニターが中心だと伝え直し、表示を確認しながら配置を調整しました。
追加する話をその都度継ぎ足すだけでは、読みにくくなるかもしれません。そこで、最初の原稿と写真配置を控えとして残し、伝えたい内容をWordの改訂原稿にまとめてから、記事全体を組み直すことにしました。「まだ保存や公開はしない」と作業の範囲も伝え、確認を重ねています。
うまくいかないところも含めて相談できることが、私には大きな支えです。AIが出した結果をそのまま受け入れるのではなく、自分の思いに合っているかを確かめ、必要ならもう一度頼む。今回のブログも、そうして少しずつ形にしています。
人と人とのつながりを 未来へ
さらに今は、地域の皆さんとAIを学ぶ機会も生まれています。スマートフォンの設定から戸惑う方もいますが、初めから詳しい必要はありません。自分で質問して、小さな「できた」を積み重ねていくことが大切だと思います。
石は、言葉と思いを長く伝えてくれます。AIは、記録を整理し、必要な人に届けたり、後の世代が読み解いたりする手助けができます。もちろん、AIだけで記録が永遠に残るわけではありません。資料を保存し、次の人へ引き継ぐ仕組みも整えなければなりません。
それでも、石に刻むこととAIに託すことは、私の中では不思議なほど自然につながっています。
技術は時代とともに変わっていきます。それでも、人を思いやり、その記憶やつながりを大切にしたいという願いは変わりません。
これからも石と向き合い、人と向き合い、新しい技術とも向き合いながら、未来へつながる仕事を続けていきたいと思います。
石は思いを刻み、AIは思いをつなぐ。
AIを使うことが目的ではない。AIを使って、私たちが何を実現するかが大切なのだ。
株式会社水谷石材
代表 水谷隆一
AI協働チーム「Team A愛」
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